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血糖

私たちが摂取した食べ物に含まれる炭水化物は消化管の中でブドウ糖に分解されエネルギーとして用いられる。分解されたブドウ糖は腸から吸収され、血液中へと運ばれていく。この血液中の糖分が血糖であり、その量を測定するのが血糖検査である。

さて、私たちのエネルギー源ともいえるこのブドウ糖。全身の細胞に供給するため、血液中の濃度は一定に保たれている。この濃度をコントロールしているのが膵臓で作られているインスリンというホルモンである。ブドウ糖の血中が高くなってしまうと、その作用により肝臓・筋肉・脂肪細胞に必要以上に取り込まれ蓄えられてしまう。このような、インスリンの分泌不足・効き方が悪い・血液中の血糖が増えたままの状態が継続する病気の事を糖尿病と呼ぶ。

従って、この血糖値の測定は糖尿病の発見と診断にとって非常に重要であると言えるだろう。血液中の糖分を調べる為、検査には採血が必要である。所要時間は1~2分ほど、酵素法による自動分析器にかけて調べていく。

この検査は原則として空腹時の血糖を測定する為、検査前日の夕食後は飲食を立ってもらうことになる。お湯やお水は摂って構わない。しかし、食後の血糖を測定する場合もある為、その場合は医師の指示に従っていただきたい。このような空腹時にこだわらず測定した場合を「随時血糖値」と呼んでいる。

空腹時血糖が126mg/dL以上ある場合は別途「経口ブドウ糖負荷試験」を行いその結果値を加味して診断を下す流れになる。なお、随時血糖値は140mg/dL未満を正常値と定めている。

検査結果から総合的に判断し、糖尿病と診断確定されたら、主治医の指示に従い治療を進めていく。食事療法を実施するとともに運動療法・薬物療法など患者さんの病状などに沿って実行していく。 「糖尿病の疑いがある」という診断結果だった場合、即ち糖尿病予備軍という事になる。患者さん自身で心がけられることは、肥満の解消・暴飲暴食を控える・ストレスを溜めすぎない・適度な運動をする等日常生活の改善だろう。加えて、定期的な検査も大切である。再検査が必要と言われた場合には、放っておかず、必ず受診していただきたい。

十二指腸液検査

この検査は、口から十二指腸に「十二指腸ゾンデ」と呼ばれる管を挿入し、十二指腸に分泌されている胆汁を採取し、調べる検査である。

この検査から、肝臓・胆嚢・胆管の異常・胆嚢の濃縮力・胆石の有無・寄生虫や細菌の感染の有無を知ることが可能である。検査の所要時間はだいたい20~30分ほど。前日の夕食をとった後絶食する必要がある。検査の際には喉に麻酔をして、管を通し十二指腸液を採取する為、苦手な人もいるかもしれない。苦痛等を感じた際は無理せず申し出て、リラックスして検査を受けた方が良いだろう。検査が終了したら、1~2時間は飲食を控える必要もある。

さてこの検査より、胆汁が採取できない時には胆道の完全閉塞・胆汁が褐色ないし黒褐色もしくは濁っている場合、胆道が炎症を起こしている可能性が考えられる。胆砂があるようなら胆石が疑われ、寄生虫卵・細菌が検出されたなら感染していることがあきらかになるという訳だ。ひとえに液の採取と言っても、液を採取することのみに特化しているのではなく、芋づる式のように異常をきたしている他の原因を知ることも可能なのである。

異常と思われる所見があった場合、さらに肝臓・胆道系の精密検査を行い、診断確定を行っていく。その後、医師の指示に従って治療を進めていくのである。

血清リパーゼ

リパーゼとは、膵臓から分泌される酵素で、中性脂肪をグリセリンと脂肪酸に分解する働きを持っている。そのため、正確には膵リパーゼと呼ばれている。この他、タンパクリパーゼ・肝リパーゼなど多種類のリパーゼが存在しているのだが、血清リパーゼと言われた時には膵リパーゼの事を指す。

さて、このリパーゼを調べることで病気の判定などに利用することが可能なのだが、この検査よりいったい何が分かるのだろうか。膵臓の細胞が破壊されると血液中のリパーゼが増えるという性質を利用し、正常値と患者さんのリパーゼの値を比較することで膵臓病の診断確定に役立てていくのである。ちなみに、アミラーゼも同様の変動を見せるのだが、リパーゼの方が膵臓の病気にのみ変化を見せる為、膵臓の病気が疑われている場合はリパーゼを調べる方が合理的だといえるだろう。

さてこの検査、採血こそ行うが絶食等の準備もいらない為、特に注意することもない検査である。

激しい腹痛が症状として挙げられ、リパーゼを測定して異常値が出れば膵臓に関わる病気だと考える。急激に4~5倍近くの値まで上昇した場合は急性膵炎、2~3倍に上昇し尚且つそれが持続しているのならば慢性膵炎・膵臓がん・膵嚢胞の可能性が浮上してくる。また、膵臓病だけでなく肝臓秒の場合でも、軽度のリパーゼ値の上昇がみられることが分かっている。腎不全によって尿への排泄が低下すると持続的に高値を示すことがあり、アミラーゼの値と比較して病状などの検討を進めるのだが、リパーゼの値が高い際はアルコールによる膵炎を考えるのが妥当だろう。

その他にも、リパーゼが正常値に戻る為に要する期間がおおよそ1~2週間であるので、回復の指標にもなっているようだ。

まとめると、腹痛を伴っている場合は膵臓の病気をまず疑い、超音波やCT検査等の精密検査を受け、腹痛が無い場合には腎臓病の可能性を考えて腎臓に関わる精密検査を受ける必要があるだろう。いずれにせよ、高値・低値に関わらず異常の裏に潜んでいるのは命にかかわり得る病気だ。主治医の指示をしっかりと聴き、治療を行っていただきたい。

うなずきと相槌

医師向けの指南書などには「患者の話に共感をしながら聞く」と書かれることも多く、求人の条件に「患者の気持ちに沿ったコミュニケーション」と挙げられていることも珍しくありません。

人間ドックにおいても診察を受ける患者に「自分の話を聞いてもらえた」と満足してもらいたい一方、多忙な医療者は時間が取りにくいため、切実なジレンマに陥っています。

機械的にならず、患者の満足感をアップさせる方法としては、うなずきや相づち、おうむ返し(相手の言葉の語尾をペーシンングをしながら繰り返す)が挙げられます。たった三点のポイントですが、「聴いてもらっている」という雰囲気を高めることができ、かつ会話を促進する効果を持っています。

人とコミュニケーションを取るとき、私たちは無意識に相手の言葉にうなずいたり、相づちを打ったりしています。これは「あなたの話をもっと聞かせて」というメッセージになり、話を引き出しやすい雰囲気にできます。相づちの言葉自体は、何でも構いません。

ただし、その際に相手とアイコンタクトを取りながら、暖かい声音でうなずくことが大切です。相手を見ないで口先だけで相づちを打っていると、逆効果になってしまいます。相づちとうなずきに合わせて、おうむ返しを行うとさらに会話は促進されます。

例えば「色々あって疲れた」と言われたときに、「疲れたんですね」と言葉を返すことで同調を示すことができます。もしも繰り返しにくい言葉の場合は「そうなんですね」とうなずくだけでも繰り返しになります。

相づちのテクニックは、やり過ぎれば不自然になってしまいますが、全くやらないよりは「あなたの話を共感しながら受け止めている」という態度で伝えることができます。人見知りな人こそ意識をして、話を促す工夫をしていきましょう。