リパーゼとは、膵臓から分泌される酵素で、中性脂肪をグリセリンと脂肪酸に分解する働きを持っている。そのため、正確には膵リパーゼと呼ばれている。この他、タンパクリパーゼ・肝リパーゼなど多種類のリパーゼが存在しているのだが、血清リパーゼと言われた時には膵リパーゼの事を指す。

さて、このリパーゼを調べることで病気の判定などに利用することが可能なのだが、この検査よりいったい何が分かるのだろうか。膵臓の細胞が破壊されると血液中のリパーゼが増えるという性質を利用し、正常値と患者さんのリパーゼの値を比較することで膵臓病の診断確定に役立てていくのである。ちなみに、アミラーゼも同様の変動を見せるのだが、リパーゼの方が膵臓の病気にのみ変化を見せる為、膵臓の病気が疑われている場合はリパーゼを調べる方が合理的だといえるだろう。

さてこの検査、採血こそ行うが絶食等の準備もいらない為、特に注意することもない検査である。

激しい腹痛が症状として挙げられ、リパーゼを測定して異常値が出れば膵臓に関わる病気だと考える。急激に4~5倍近くの値まで上昇した場合は急性膵炎、2~3倍に上昇し尚且つそれが持続しているのならば慢性膵炎・膵臓がん・膵嚢胞の可能性が浮上してくる。また、膵臓病だけでなく肝臓秒の場合でも、軽度のリパーゼ値の上昇がみられることが分かっている。腎不全によって尿への排泄が低下すると持続的に高値を示すことがあり、アミラーゼの値と比較して病状などの検討を進めるのだが、リパーゼの値が高い際はアルコールによる膵炎を考えるのが妥当だろう。

その他にも、リパーゼが正常値に戻る為に要する期間がおおよそ1~2週間であるので、回復の指標にもなっているようだ。

まとめると、腹痛を伴っている場合は膵臓の病気をまず疑い、超音波やCT検査等の精密検査を受け、腹痛が無い場合には腎臓病の可能性を考えて腎臓に関わる精密検査を受ける必要があるだろう。いずれにせよ、高値・低値に関わらず異常の裏に潜んでいるのは命にかかわり得る病気だ。主治医の指示をしっかりと聴き、治療を行っていただきたい。