人間ドックで診察を受ける側の患者が医師と向かい合うときには、初対面かどうかに関わらずある程度の緊張を感じています。人によっては緊張をしているせいで、自分の症状を上手く話せないこともあるかもしれません。話しやすい雰囲気かどうかは、医師の工夫次第です。患者が話しやすくなるような質問フレーズをいくつか用意をして、話を引き出していくとよいとされています。

質問は、クローズ型質問と、オープン型質問の二つに分類されます。クローズ型は、イエスかノーの答えで完了する質問形式です。例えば「夜は眠れていますか」「食欲はありますか」といった質問が該当します。「いつから?」「どこで?」「何回?」といった質問も、ある意味答えが指定されているので、広義のクローズ型質問、もしくはセミクローズ型質問と呼ばれています。

一方、オープン型の質問は一つの答えに限りません。「睡眠はどんな感じですか」「食欲はいかがですか」と聞くことで、患者が自分の言葉を使って答えられるようになります。答えが広いので、そこから「朝方に何度も起きてしまう」「薬を飲んだ後に食欲がなくなる」といったように、具体的な話に持っていきやすくなります。

ただし、全ての質問をオープン型ですれば良いわけではありません。例えば会話の冒頭で緊張が解けていない相手や、初対面や無口な人などは、自分で話すことに抵抗があります。そのため初めから間口の広い質問をするのではなく、あくまでイエスノーで答えやすいクローズ型の質問をして緊張を解いてもらうことも有効です。緊張が解けた・打ち解けてきた頃を見計らい、徐々にオープン型の質問に移行していきましょう。特に冒頭での「どうされましたか」という質問は、大抵は問診票に書いてあるので患者の二度手間になってしまうことも。