医師向けの指南書などには「患者の話に共感をしながら聞く」と書かれることも多く、求人の条件に「患者の気持ちに沿ったコミュニケーション」と挙げられていることも珍しくありません。

人間ドックにおいても診察を受ける患者に「自分の話を聞いてもらえた」と満足してもらいたい一方、多忙な医療者は時間が取りにくいため、切実なジレンマに陥っています。

機械的にならず、患者の満足感をアップさせる方法としては、うなずきや相づち、おうむ返し(相手の言葉の語尾をペーシンングをしながら繰り返す)が挙げられます。たった三点のポイントですが、「聴いてもらっている」という雰囲気を高めることができ、かつ会話を促進する効果を持っています。

人とコミュニケーションを取るとき、私たちは無意識に相手の言葉にうなずいたり、相づちを打ったりしています。これは「あなたの話をもっと聞かせて」というメッセージになり、話を引き出しやすい雰囲気にできます。相づちの言葉自体は、何でも構いません。

ただし、その際に相手とアイコンタクトを取りながら、暖かい声音でうなずくことが大切です。相手を見ないで口先だけで相づちを打っていると、逆効果になってしまいます。相づちとうなずきに合わせて、おうむ返しを行うとさらに会話は促進されます。

例えば「色々あって疲れた」と言われたときに、「疲れたんですね」と言葉を返すことで同調を示すことができます。もしも繰り返しにくい言葉の場合は「そうなんですね」とうなずくだけでも繰り返しになります。

相づちのテクニックは、やり過ぎれば不自然になってしまいますが、全くやらないよりは「あなたの話を共感しながら受け止めている」という態度で伝えることができます。人見知りな人こそ意識をして、話を促す工夫をしていきましょう。