上部消化管内視鏡検査では、食道・胃・十二指腸を直接観察する検査です。その為「胃・十二指腸ファイバースコープ」とも呼ばれています。口から直径10mm程度の電子内視鏡を挿入して、胃・食道・十二指腸の内側(内腔)を観察していきます。本検査より病変部の有無を色調・粘膜模様の違いなどから知る事が出来、質的・量的診断を行う事も可能となっています。また、組織の採取(生検)や簡単な内視鏡手術を行う事も出来ます。本検査での注意ポイントがいくつかありますのでご紹介します。まず常用薬のある方。現在服用している薬はすべて必ず報告するようにしましょう。脳梗塞や心臓病などによる血栓予防の「血液が更サラサラになる薬」を服用している方も検査は可能ですが、生検や内視鏡手術となると制限される場合があります。また、病状によって薬を一時的に中止する必要がある場合と、服用を継続した方がよい場合とがあります。検査前に確認しておく必要があると言えますね。また、検査前日の夜9時頃~検査終了まで絶食する必要があります。水・お茶などは検査の2時間まではOKです。検査直前、通常だと消化管の動きを抑える鎮痙剤を投与します。しかし心臓病・緑内障・前立腺肥大・糖尿病がある方の場合だと使用できない可能性がありますので、該当する際には事前に相談しましょう。のどスプレーやゼリー状の麻酔薬「リドカイン」で局部麻酔を行います。このリドカインという薬に対して稀にアレルギー反応を示す方がいます。今までにアレルギーの指摘をされた事がある方は事前に申し出ておきましょう。本検査の所要時間は早くて5分、詳しく検査したり組織採取も行うという場合でも10分程度で終わります。数字で見れば僅かだと言えるかもしれませんが、口からの内視鏡挿入という事もあり苦痛を伴う検査です。我慢できない・痛い・不快感に耐えられないという場合には無理せず右手を上げて合図して大丈夫です。ただし、自分で内視鏡を抜いたり、検査中に話すのは危険ですので絶対にしないようにしましょう。検査から数時間経っても不快感がとれない・腹痛・発熱・下血・吐物に血が混じる等の異常がみられる場合には、検査を受けた医療機関へ行きましょう。本検査より、良性疾患が見つかった場合には薬物療法や経過観察となります。悪性疾患であった場合には早急に手術などを要します。