単純X線検査というのは、身体に弱い放射線(X線)を一瞬だけ当て、身体を通ってきた放射線を写真にして調べる画像診断の1種です。一般的に連続して放射線を当てる場合を「投資検査」、造影剤を使用する場合を「造影X線検査」、特に血管の検査を行う場合には「血管撮影」と言います。放射線は骨や筋肉、実質臓器では通り抜けにくい空気なら通り抜けやすいという性質を持ちます。その為、適当な強さの放射線を用いると、これらの間でコントラストつまり明暗の対比が生じて、画像を作り出す事が出来るというわけです。単純X線写真が特にその威力を発揮する部位としては、空気とその他の臓器間のコントラストを作りやすい肺・骨と筋肉などの軟部組織との間でコントラストを作り出しやすい四肢の骨があげられます。その他の部位では、CTやMRIなどの方が役立つ事が多いため、単純X線撮影の持つ役割というのは徐々に小さくなりつつあるとも言えます。胸部単純X線撮影では肺炎・肺結核・肺水腫・肺腫瘍・心臓の大きさ・大動脈瘤・縦隔腫瘤などを知る事ができます。胸部の撮像は、肺がほとんど空気である為にわずかな被曝量で多くの情報を得る事が可能なのです。その事もあり、胸部の画像診断では、本検査が対一選択となる傾向がみてとれます。しかしながら、被曝量は少なくとも、どのような場合でも不必要な被曝というのは避けるのが望ましいでしょう。ですので、検査目的を明確にし確認をしたうえで、本検査を行うか否かを判断するべきだと言えるでしょう。骨単純X線撮影では、関節疾患・骨折・骨代謝性疾患・骨腫瘤などで詳細な骨の情報が得られるので骨・関節のあらゆる病気が単純X線検査の適応となります。腹部単純X線撮影では、腸閉塞・消化管穿孔などがあげられます。しかし、腹部や腰椎は厚いため相対的に被曝量は多くなる一方で得られる情報は少ないというデメリットがあります。その為、超音波検査やCTと言った他の画像検査が第一選択となっています。また本検査は頭部にも用いられる事がありますが、その際には骨折(特に頭部外傷)や小児の代謝性疾患・骨系統疾患が分かります。とはいえ、頭蓋内の情報を得る時はCTやMRIが第一選択となっています。